新しい仲間のお部屋が、二人部屋か狭い一人部屋かの二択になっていた。
施設の構造上の問題である。
しばらくすると、プログラム終了のため退所される方の見通しも立っていたので、
この間は辛抱してもらおうと思っていた。
「これは僕の考えになってしまうのですが…」と、あるメンバーは話して来た。
初めて繋がった施設で、あの狭い部屋は辛いと思う。初めはボロボロでやってくるので少しでも安心して、のんびりできる空間で生活してほしい。
僕が説教部屋に行きます。(※4畳ちょっとの狭い部屋で形も歪なので、再発した時に反省する部屋にしようとみんなで冗談を言っていた通称説教部屋)
施設生活は毎日続く。
それが分かっているから、格好つけたくてもつけられない。
みんな自分の生活を考える。
彼には感謝の気持ちを伝え、ありがたく気持ちを受け取ることにした。
思わず新しい仲間にその事実を知っててほしいと思ったが、それはやめた。
それを僕が伝えてしまったら、彼の善意を汚してしまうことになるから。
そして僕は気がつく。
彼が来てから、駐輪場に煩雑に置かれていた自転車が、
10台以上の自転車が車や通行人の邪魔にならないように綺麗に並んでいることを。