全くのプライベートなこと。
僕はギャンブラーの家族という立場で生きてきたクセが未だに抜けなくて、時々苦しくなってしまう。
それはギャンブラーと向き合っているとき、起こるものではない。
大抵子供といる時。
不思議なことに、妻に対してはほぼ起こらず、ギャンブラーに対してもおそらくない。あくまで自覚という意味で。
どんなクセかというと、
それみたことか。
やっぱりそうなったでしょ。
だから言ったじゃないか。
って言う得意の先見の明的なやつ。
これって言う方はすごく気もちが良くなるやつで、他の何者でもないただの山田が、あなたの事はなんでもわかってる、だから言うことを聞きなさいっていう含みをもたせた得意の言い回し、考え。
当然そんなやりとりで相手の行動が自分の思い通りになる事はないし、むしろ不健康な関係性になる事を想像する事は難しくない。実際そうであったし。
僕はそれでも、特に子供との関係でそれを繰り返しそうになる。本当はそんなんで作る関係を求めていないのに。
僕はそれを勝手に血縁の鎖(くさり)と呼んでるのだけど、なかなか断ち切れない。ダメだと思っているのに。
先日もそう。年頃の長女がボーイフレンドと初めて遊びに行くと言う話を次女に聞いた。絶対やめとけ、何があるがわからないからって言いたかったのだけど、友人に嗜められたことを思い出し、本人には、わざわざそんな都会まで遊びに行かずにこの町で遊んだら良いじゃん。危ないよとだけ伝えた。当然そんなオヤジの話聞くわけもない。妻には何を心配してるの?と聞かれ、よくわからないけど心配じゃないの?ともう質問に質問で答えるくらい余裕がない。あなたもそういう時代があったでしょと言われ、俺はほら、自分の事はよくわかったから心配なんかないとかよく分からない自分勝手な返答をしたり。
結局僕は、娘のデートのその日、何かあったらいつでも動けるようにその街でブラブラしておこうかなとかいう危ない行動をなんとか自制して、でも居ても立っても居られないから不必要な関係機関や役所とのやりとりやをして、そのやりとりに腹を立ててみたりして過ごしていた。
さて、時が過ぎ、帰る予定時刻の10分前に妻からの電話。当然妻はいつも通り僕の隣でタブレットを使ったゲームに熱中している。
念のために妻が携帯電話を持たせていたのは知っていたのですぐに娘からの電話だとわかった。(我が家は携帯電話を持たせないルール)
恐る恐る電話に出てみると、心拍数が一気に3倍に跳ね上がったのがわかった。15歳の娘が電話越しに泣いているのだ。理由なんか聞かなくてよかったし、頭の中が真っ白になるのがわかった。だから言ったじゃないか。それみたことか。当然僕の頭の中はその考えで一杯になる。
結局は僕が言葉にならずに恐れていたことではなく、この日初めて乗った電車で降りる駅を乗り過ごしてしまったらしく、本人の知らない駅まで行ってしまったので怖くなってしまい、どうしたら良いかわからなくなっていただけだった。
こういう時に、まず僕がどうなるのかといえば、それみたことかという思いに駆られ、僕が思う通りに行動しなかったことを責め立て、怒りをぶつける。この場合でいえば、彼女は困っていて怖くて悲しんでいるのにだ。
本当は心配で仕方がないくせに、出た言葉は自分で何とかしなさい。
まだそんな事を娘との間ではやってしまう。
結局その後一旦電話を切り、電車の時間を調べて、手段を伝え自力で帰宅させた。(本当は彼女が降りた駅まで車で40分くらいなので迎えに行こうという気持ちを自制して)
とはいえ、夜9時過ぎ。妻が大丈夫、駅からは自転車で帰るわよという言葉を無視して自転車で迎えに行った。その時間、自転車置き場が閉まっていたため、僕が乗って行った自転車に2人で乗って帰る事に。40代のおじさんは自転車の後ろに中学女子をのせ、安堵の顔とは裏腹に、プルプル震える大腿四頭筋に鞭を打ち帰宅。
今日遊んだボーイフレンドに勝った!なんて低次元の思いまでは抱かなかったことがせめてもの救い。
とまあ、相手が自分の血縁となるとこの程度で。
染み付いた考えや行動を修正する難しさ、またそれが反射的に起こるのでやめたいのにやめられない苦しさ。
ああ、ああ…。