いつもリュックを肌身離さず持ち込んでいるA君がいて、多分スマホ持ち込んだんだろうなと放置してた。
どうせそのうち問題になるだろうし、上手にやり切れることはないだろう。せいぜいスマホ使って人に送金してもらうか、
ネットで競輪の車券買うくらいかなぁ。
ま、その時に対応すればいいかと。
そしてその時はすぐにやってきてしまった。
映画プログラムの暗闇の中で、壁側に大事においてあるリュックの中身を稲川淳二顔負けの表情でのぞき込むA君。
顔だけが光っているので、突っ込まないわけにも行かず。
「それもってこっち来い。」
「バッグの中身だしてくれ。」
そう伝えて僕は仁王立ち。
そして顔を真っ赤にして出してきたのは分厚い本。
「ほう~。」
「まじでこれ出してるの?出すべきはこれじゃないよね。」(さすがに失笑)
少しごまかし切ろうとしたが、結局あきらめてでてきたのはこれ。
これで何をしていたのか問うとネットには繋がっていないので、繋がる場所に行って(無線wifiの解放ポイント)友人に連絡していたとのこと。
連絡先が分からないので、過去のネットバンキングの履歴から送金する形をとり、
そのついでにメッセージをのせられる。
何百円か残っている口座から、百円送金し金の無心のメッセージを送る。
ギャンブラーAが最後の力を振り絞ってbetしたのだ。
そしてその答えとして送金があるか否かを確認し、また別の人にbet。
ようはギャンブルやるためのギャンブルをやってたみたい。
結果としてはだれからも送金してもらえることはなく、
その前に僕にばれてしまうという結果だったようだ。彼にとってのこの口座はとても大事だったようで、
競輪の車券はこの口座からやり取りをするらしい。
今必要のないものなので、物品預かり帳に記録を残し丁重にお預かりをした。
そんなこんなのおもしろ話もつかの間。
プログラムの一環として、つけてもらっているお小遣い帳。
そこにまたしてもおもしろ話を発見。
携帯電話を持つ段階に来ていないA君がなんとpaypay支払で買い物をしているではないか。
確かにキャッシュレス還元を受けたい気持ちはわかる。
一応聞いてみよう。
(せいぜいコンビニや薬局のレジわきに捨てられてあるレシートを拾ったとか、スマホを中古で買ったとかそういう話だろうなぁ。)
すると、何のひねりもなくそのまんまのお話し。
しかしここからが面白い。順序が違うのだ。
こうやって領収書で裏金を作って、中古のスマホを買ったということなのだ。
それで頼みもしないのに出てきたのがこれ。
そんな努力までして、頑張って手に入れたスマホだったか今必要のないものなので、やはり物品預かり帳に記録を残し丁重にお預かりをした。
いいよいいよ。
こういうエネルギーのある人はベクトルの向きが変わるだけでいくらでもよくなる。
頑張れ。